FDR / FWER
多重比較:FDRとFWER
多くの仮説を検定すると偽陽性の機会が増えます。補正は有意と判断する閾値を変えます。誤りの制御と真の効果を検出する力の両方を比べる必要があります。
多重検定に補正が必要な理由
独立した真の帰無仮説が20個あり、α = 0.05なら、偽陽性が1件以上生じる確率は 1 − (1 − 0.05)²⁰ ≈ 64% です。偽陽性の期待件数は 20 × 0.05 = 1 です。前者は確率、後者は件数で、異なる量です。
偽発見率とは?
FDR = E[V / max(R, 1)]。Vは偽発見数、Rは発見総数です。5%のFDR目標は、手法の前提が成り立つとき、反復実験を通じたこの割合の平均を制御します。個々の有意な結果が偽である確率が5%という意味ではありません。
FWERとの違いは?
FWER = P(V ≥ 1):一群の検定で偽発見が1件でも生じる確率です。BonferroniとHolmはFWER、Benjamini–HochbergはFDRを目標にします。FWERを制御すればFDRにも上限を与えますが、真の効果の検出数が少なくなりがちです。
計算例:BonferroniとBH
小さい順に並べた5つのp値 0.001、0.008、0.039、0.041、0.300 を考え、α = q = 0.05 とします。Bonferroniは 0.05 / 5 = 0.01 を使い、最初の2つを棄却します。BHでは順位ごとに 0.01、0.02、0.03、0.04、0.05 と比較します。条件を満たす最大順位は2なので、BHも最初の2つを棄却します。最後のp値が0.045ならBHは5つすべてを棄却します。最初に不合格となる順位ではなく、条件を満たす最大順位を使います。
11種類の補正方法を比較
補正なし
p < α のとき各帰無仮説を棄却します。検定群全体の誤り率は制御しません。偽陽性の蓄積を見るための基準になります。
Bonferroni
Bonferroniは p < α/m で棄却します。妥当なp値なら任意の依存構造でFWERを制御しますが、検定が多いと真の効果を見逃すことがあります。
Holm
p値を小さい順に並べます。順位rを α/(m−r+1) と比較し、最初に条件を満たさなかった時点で止めます。Holmは任意の依存構造でFWERを制御し、Bonferroniが棄却する仮説はすべて棄却します。
Šidák
単一の閾値 1−(1−α)^(1/m) を使います。Šidákは独立した検定でFWERを制御し、Bonferroniよりわずかに保守性が低くなります。
Holm–Šidák
Holmの逐次的な手順に閾値 1−(1−α)^(1/(m−r+1)) を適用します。このシミュレーションでは検定は独立です。この手法が任意の依存構造に対応すると考えないでください。
Hochberg
p(r) ≤ α/(m−r+1) を満たす最大順位rを探し、rまでのすべてを棄却します。Hochbergは独立性または適切な正の依存条件のもとでFWERを制御します。
Hommel
HommelはSimes検定に基づく閉検定手順を使います。独立性またはSimesの不等式が成り立つ条件でFWERを制御し、検出力はHochberg以上ですが、計算負荷は高くなります。
Benjamini–Hochberg
p(r) ≤ (r/m)q を満たす最大順位rを探し、rまでのすべてを棄却します。Benjamini–Hochbergは独立した検定や特定の正の依存条件(PRDS)でFDRを制御します。
Benjamini–Yekutieli
qを Hm = Σ(1/k)、k = 1…m で割ってBHを実行します。Benjamini–Yekutieliは任意の依存構造でFDRを制御しますが、通常は検出力が下がります。
Storey型(探索的)
この簡略化した探索的な変種は、0.5を超えるp値の割合からπ₀を推定し、q/π̂₀でBHを実行します。完全なq値の実装ではなく、有限標本で普遍的なFDR保証もありません。
適応型BH(探索的)
この探索的な2段階の変種では、まずqでBHを実行し、m₀を max(1, m−R₁) と推定してから、q·m/m̂₀でBHを実行します。BKY手順ではなく、その有限標本保証があるとも主張しません。
よくある質問
自分のp値を入力するFDR計算機ですか?
これは教育用シミュレーターであり、p値をアップロードする計算機ではありません。真の状態が分かっている実験を生成し、偽発見と見逃しを観察できます。実際のデータだけからは、通常それらを知ることはできません。
q値が0.05なら偽陽性は必ず5%以下ですか?
いいえ。目標 q = 0.05 は、手法の前提のもとで、発見中の偽発見割合の期待値に関するものです。1回の実験ではその割合が大きくも小さくもなりえます。
どの補正方法を選べばよいですか?
研究計画でどの誤りを制御すべきか決めます。FWER法は検定群内で偽発見が1件でも生じるリスクを抑えます。FDR法は発見中の偽発見割合の平均を制御します。結果を見る前に依存性の前提を確認し、仮説の一群を定義してください。